起きなくても良いよ、ただ私を感じて欲しいんだ。

 

 

 

3、夜枷

 

 

 

私は右手に何かを持って誰かの家の扉の前に居た。

ここは灰色で埋め尽くされた世界。

マンション、三階、人通りの少ない道。

 

 

 

 

 

私の目の前にあるのはあなたの家だよ。

手に持ってるのはあなたの家の鍵。

今、今会いに行くから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はいまにいたるまで、あの白い空間で綺麗な花と話をしてた。

実際、その花が声をだしてたのかはわからないんだけど。

その花が私に希望をくれたんだ。

試練を与えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あなたは確実に、死にました。それは自分自身でも判ってることでしょう。

もちろん。

感覚まで覚えてるよ?

『そこで貴方に試練を与えたいのです。』

何、かな。

『貴方を再び現世に戻します。もちろん実体はあります。』

え?

『ただし、貴方はそこに存在するかわりに人は貴方のことを桜埜潤祈とは認識することはできません。』

・・・。

『でも本当に会いたいと願う人だけに、貴方だと認識できることを許可をされているのです。』

それって・・・洸汰にまた会えるの?

『はい。もちろん期間は与えられてあります。ずっと居られるわけではありません。』

それは、そうだろうね。

『期間は人さまざま、短い人で一週間、長くて5年です。』

どういう意味?

『あなた次第ということですよ』

何で、私を生き返らすの。

『あなたの生き様をまた見たいと思ったので』

あなたは・・・随分粋なことするね。でもありがとう。

『いいえ、それではいってらっしゃい。』

暖かい光に包まれて唐突に眠くなり意識はまた途絶えた。

眠っている中洸汰のあの、笑顔がはっきりと見えて心の中で早く会いたいと泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

私はその鍵で躊躇いも無く鍵を開ける。

かちゃ、錠が外れる音がして、ノブを回し部屋に入った。

まだ、寝ているようで部屋の中は真っ暗だった。

薄暗くて仄明るかった。

うっすりと、洸汰の臭いがした。

何だか泣けてきたなぁ。

確か、こっちが洸汰の寝室。そこの扉がリビングかな。

何度か来た部屋にどことなく懐かしく感じる。

私は構わず洸汰の寝室の部屋の扉を開けて入った。

廊下よりもいっそう暗くって、微かに寝息が聞こえた。

ベッドの上で気持ちよさそうに寝ている洸汰。

でも、目が腫れてるね。

私の所為だね。ごめんなさい。

洸汰が寝ているベッドの横にそっと腰を下ろした。

生身の体なので少し寒かったけど、

今ここに居られるだけで、私は幸せ者なんだと心から思った。

洸汰の寝顔を見てほっとした。

嬉し涙ってこういうものなんだね。

だんだん私も眠気に煽られてきた。

 

 

 

 

早く、洸汰と話たいなぁ。

 

 

 

 

 

私は徐々に眠りにへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

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