最後でいい。君に逢いたい

 

 

 

2、内緒のキス

 

 

 

 

 

 

三日間。

お婆ちゃんの家に泊まりに行った。

遠くも無く、近くも無いので

バスでいつもいっている。

観光バスなのだが。ちょこっと使わせて貰っている。

今は、その帰り。

電話とかでしか話してなかったから、早く洸汰に逢いたいな。

ひとりで窓の外をみてにやついていた。

私の席は運転手さんのすぐ、後ろだった。

 

はやく、逢いたい。

 

 

でも叶わないものは、叶わないんだね。

 

 

それは突如起きた。

 

 

「お前ら静かにしろ!!今からこのバスは俺がのっとった!!」

 

 

びくり、と肩がゆれる。

楽しそうなバスの雰陰気は一転、ぴりっとした張り詰めた感じになった。

私も息を潜めていた。

名乗りだした男は拳銃を持っていたからだ。

皆の息の音さえも聞こえないよ。

男はずかずかと運転手の横。

私のすぐ近くにやってきた。

男は運転手に、このまま走り続けろと言って拳銃を頭にむけていた。

私はただおびえた目で男を見るしかなかった。

とたん、男はこっちに視線をかえてしまったのだ。

 

 

目が、合ってしまった。

 

 

 

私は思い切りひっぱられ、男の腕の中に納まり銃を向けられていた。

 

「俺は人を殺せるぞ!甘く見るんじゃねぇ!!」

 

 

 

そういって私の頭にごり、と硬く強く押し当てた。

目を辺りに渡すと、誰も助けてくれそうにはない。

みんな、誰だって自分が大切なんだ。

私だって自分が大切だもの。

かちゃり。

金属音。

あぁ、私しんじゃうのかな?

最後に洸汰に逢いたいよ。

もう一度抱きしめたい。

もう一度、好きとささやいて?

私は愛してるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

乾いた音までは聴こえた。

 

 

刹那。

 

私は目の前が真っ白になって全身の力がぬける。

最後に見たのは、犯人の顔でもなく、乗車してる客達でもなく、

瞼の裏にいた、あなただったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ、私死んじゃったっぽいのかな?

ここってどこ?

白いよ、何も見えないよ。洸汰、どこ?

苦しくも痛くも無い。

けど胸が苦しいし痛い。

ねぇ、願いが叶うんだったら。

神様が本当にいるんだったら、

私に少しでも同情してくれるなら、

最後の最後で良い、彼に、会いたい。

 

 

 

 

 

 

まだ、内緒のキスだってばらしてないんだよ?

すやすやと眠りに落ちたあなたにそっとしたキス。

可愛くって愛しかった。

大好き大好き。

 

 

 

 

今、逢いに、行くよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

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